最高峰の紬として知られる結城紬。
「手つむぎ」、「絣くくり」、「地機織り」の三工程の技術は国の重要無形文化財に指定されています。
今回、原産地を訪問させて頂きこれらの工程を特別に拝見させて頂きましたのでご紹介いたします(*´꒳`*)
手つむぎ
本場結城紬の特徴のひとつ、袋真綿から人の手でつむがれる紬糸。
袋真綿とは、真綿にされた繭が袋状に広がっている形のもの。
これらは「ボッチ」と呼ばれる単位で扱われます。
5つの繭から1枚の袋真綿が作られ、これが50枚でようやく1ボッチ。
反物が一反できるには7ボッチ分の袋真綿を要します。
人の手でつむがれるこれらの糸は程良く空気が含まれ、結城ならではの風合いを生み出す一因となります。
袋真綿を巻き付ける「つくし」、つむいだ糸を溜めていく「おぼけ」という道具。
むかしならではの道具が今も使われています。
実際に拝見すると、とても地味な作業ながら集中力を要する作業に感じます。
絣くくり
本場結城紬の絣模様。
これらは一つ一つ職人によって木綿糸でくくられます。
この「絣くくり」も本場結城紬を代表する技術の一つです。
模様の図案が出来上がると、模様に沿って墨で目印が付けられ、その部分だけが正確にくくられます。
小さい絣は細い糸、大きい絣は太めの糸で。
くくり方一つでも、強すぎれば後に糸が取れにくく、弱すぎれば染めの工程で糸が取れてしまい、柄の部分が地色と同じ色に染まってしまいます。
反物の仕上がりを考えると、くくり糸の順番が柄行きを左右します。とても慎重な工程です。
[写真:絣くくり後の糸]
すり込み
こちらも「すり込み」という柄付けに関する工程。
白地に模様がある反物を作りたい時、絣くくりでは地色の部分すべてをくくらなくてはならないことになります。
「すり込み」はこういった時の為の技術で、主に薄色の結城紬に用いられます。
こうして柄の部分だけをピンポイントに染めることができるのです。
たたき染め
染色の工程でも結城紬ならではの独特な方法が「たたき染め」。
染色する際に、くくられた糸のキワまで綺麗に染めるための技術です。
柄にもよるそうですが、平均で500回から600回ほど石の上に叩き付けられます。総柄の物になると約1000回も叩かれます。
実際に拝見させて頂くとかなりの体力仕事です( *`ω´)
地機織り
地機織は重要無形文化財に指定されている技術です。
経糸を人の腰でつり、腰を引くと糸がピンと張る仕組み。経糸にかけるテンションは絶妙な加減です。
写真右手に持っている杼(ひ)で緯糸を強く打ち込んでいきます。初めて地機織をみた私は打ち込みの強さに驚きました。
真綿の糸は湿度の影響でダマになり切れてしまう事も。
素人では糸が切れたかどうかすら分からないほど、繊細な作業です。
こうして高密度に織られた本場結城紬は他の織物よりも丈夫に仕上がります。
地入れ(湯通し)
お伺いしたのは「横島紬整理」。
本場ならでは方法で地入れを行っている唯一の整理屋です。
結城紬は糊を落としてはじめて独特の手触り、風合いに仕上がります。
小麦粉糊が使われる結城紬ですが、糊を落とす際は酵素が入ったお風呂程の温度のお湯が使われます。
お客様の要望により、少し柔らかめ硬めの微調整が出来てしまうのも本場の職人さんならではの技術です。
天日干し(写真)では一反を真っ直ぐに干すスペースが必要です。このスペースがなければ「だら干し」(少ないスペースで軽く折り曲げながら干す)が行われ僅かなムラの原因になる事も。
地入れはお客様に届き、仕立てをする前の最後の工程。この工程は仕上がりを左右する重要な技術の一つだと改めて感じます。
本物は産地で地入れをする事が一番良い選択肢です。
今回の訪問でお会いさせて頂いた職人さん達はとても親しみやすい方ばかり。
作り手の人柄に触れ、説明を聞くと商品に対する思いが伝わってきます。
これら本場結城紬は証紙をみれば、誰が染めたか、だれがつむいだ糸を使ったか、までさかのぼることが出来ます。
この証紙はいわば本物の証であり、安心してお客様にお勧め出来る商品の証でもあるのです。
各職人さんの減少と共に結城紬全体の生産量も年々減少し、今後も更に希少性が増していくと思われます。
皆様もぜひ当店がお勧めする本物に触れて、最高峰の紬を実感してみてください。